建築でコンピュータ、する?
2024年10月 3日(木) 18:45 JST
2016年以降のものはこちらのページではなく、上記youtubeに整理しています。以下は古いものですのでご注意ください。
2016/4/6 更新
ビジュアルプログラミングによる建築構法の知識表現 |
生体に見られるテンセグリティ構造に着目し、それらを模倣した可動テンセグリティの建築利用に関する研究です。肘関節を模した可動テンセグリティ模型の可動実験の様子と、細胞を模した可動テンセグリティの物理演算エンジンによるシミュレーションについて紹介します。
肘関節を模した可動テンセグリティ |
可動テンセグリティの物理演算シミュレーション |
腕型ロボットを用いてペンローズ・タイルの配置実験を行いました。ペンローズ・タイルは2種類の菱型を非周期的に並べるタイルパターンです。人間が正確に配置するのはなかなか難しいのですが、ロボットを用いれば素早く正確に配置することが出来ます。
腕型ロボットを用いたペンローズ・タイルの配置 |
ツーバイフォー工法の建築情報三次元モデルを関係データベースで管理・運用し、知識表現を行なうシステムに関する研究を行ないました。その知識表現の活用例として、部品モデルに含まれるデータから仮想の五軸加工機を制御するアプリケーションを作成しました。
仮想五軸加工機によるカットシミュレーション |
プロジェクションマッピングを用いて模型に外装材や照明の光を模したものを投影し、模型表現の拡張を行ないました。CGと被投影物体の位置合わせにマーカトラッキングを用いることで、プロジェクタと模型の位置関係を常に把握し、自動で位置合わせが行なわれるようにしました。3DCGモデルに透明な窓を設けておくことで、窓から漏れ出る光を表現できました。プロジェクタの近くからの視点では、ガラスの向こうの柱なども違和感なく見えます。
プロジェクションマッピングを用いた模型表現の試行 |
VRのものに引き続き、ARによる蔵の復元を行い、景観シミュレーションにおけるそれぞれの表現方法の有用性についての比較を行ないました。
ARを利用した千葉県館山市長須賀の町並みの復元 |
三次元モデルを構成する部品と資料の関係を、a.記載されていてモデル化の際に参考にした、b.記載されているがモデル化の際に参考にしていない、c.記載されていない、の3つの関係で整理し、この関係をデータベースにて扱う手法を示しました。動画はCADとこのデータベースを連携させたデモです。CAD上で部品を選択し、アドオンを起動すると、その部品が記載されている資料(PDF)の一覧がブラウザで表示されます。この一覧では、モデル化の際に参考にした資料は橙でハイライトされています。もちろん資料名をクリックするとその資料を開くことができます。
姫路城のデジタルアーカイブ化における資料管理 |
AR/MRを用いた街並みレベルでのシミュレーションの実験のために、その比較用途として、VRのみの街並みシミュレーションもおこないました。街並みのVRモデルの作成は、大量の写真を撮影してそれらから個々の建物等を3Dモデル化することで、それらしい街並み景観を構築しています。
AR/MRを用いたシミュレーションデモについては、いずれまた。
VRを利用した千葉県館山市長須賀の町並みの復元 |
建築物のデジタルアーカイブ化に関する研究では、伝統木造建築を対象に継手仕口といった納まり部まで表現する精緻さでの三次元モデル化を行なっています。既存資料や調査で不明な箇所では、他の建築物を参考に復元設計を行なっていますが、特に納まり部の設計では、三次元モデルとしては干渉などが無くでも、嵌合方向によっては組み上げることができないケースも考えられます。そこで、組み上げた三次元モデルが分解できるか、物理演算エンジン上でシミュレーションすることで、三次元モデルの整合性が検証できるのではないかと考えました。このデモでは、継手仕口の物理演算エンジン上での挙動を確かめ、次に五重塔軸部の一部を入力しシミュレーションを試みました。
物理エンジンでの継手仕口のシミュレーション |
五重塔データの物理エンジンへの出力 その2 |
リアリティを向上したAR/MRのシステムをベースにして、CADからARに重畳するオブジェクトを操作できるシステムを開発しました。これまでのARシステムでは事前に作成した3Dデータを読み込み、重畳シーンを見て検討することしかできませんでした。本システムでは、CAD上からARで重畳する3Dオブジェクトの配置・移動・変更・削除などの操作を可能とすることで、より意思決定・合意形成に効果的な検討を実現しました。
CADとARを連携した設計検討ツール |
屋外の広域な空間を対象として、拡張現実感(AR)を利用した景観シミュレーションを行いました。建築設計における景観シミュレーションでは、全てをCGで表現するVRを利用した検討が一般的-ですが、AR技術を利用することでこのようにリアリティある景観シミュレーションが可能になります。GPSと複合センサを利用しているため、ビジョンベースのARシステムと異なり、カメラ視点変更に制限がなく自由な検討が可能です。影を表現することで没入感を妨げない、より効果的なシミュレーションを実現しています。
拡張現実感を利用した景観シミュレーション |
物理エンジン(PhysX)を用いたテンセグリティのシミュレーションその2です。その1(↓のものです)では、プログラム中にテンセグリティのデータを埋め込んでいたのですが、今回のデモのプログラムでは、CAD上で作成した閉じたポリゴンから、自動的にテンセグリティ形状を定義しシミュレーションを行うことができるような実装になっています。テンセグリティというと、シンプレックスと呼ばれる線を基準としたものをはじめ、正四面体、立方体、正二十面体を基準にした6本ロッド、12本ロッド、30本ロッドのものをよく目にしますが、この実装によってもう少し変わった形を基準にしたテンセグリティを定義し、シミュレーションすることができるようになりました。また、ロープ(ワイヤー)の設定をより実際のロープに近い性質となるように調整してあります。今回のデモに出てくるのは、TOKIWAファンタジア’11 イルミネーションコンテスト参加作品の台座部分なのですが、ロープを切断した場合、あるいはロープのつなぎ方が誤っている場合の挙動はなかなかリアルだなと思います。
テンセグリティの物理エンジンでのシミュレーション 2 |
物理エンジンPhysXを用いてロッド12本のテンセグリティのシミュレーションを行いました。マウスドラッグによりテンセグリティやボックス、球といったアクターに力を加えています。後半に出現するボックスや球はキーファンクションで呼び出しています。現実世界ではテンセグリティをボールのように扱うのは壊れてしまいそうで躊躇しますが、PhysX上ではロッドとワイヤーの接合部強度のパラメーターを変更することができるので、そのようなシュミレーションも容易に行えます。
テンセグリティの物理エンジンでのシミュレーション |
本研究室では、以前から前後関係や、光環境を考慮したAR/MRの研究を行ってきました。本研究では、これまで別々のシステムに実装されていたこれらの機能を統合し、複雑な現実物体と仮想物体との前後関係・光学的整合性の両方を実現するシステムの開発を行いました。現状では、現実空間の光源情報は取得しておらず手動での設定ではありますが、下の動画のように、複雑な模型による仮想物体の隠蔽や、模型から仮想物体に落ちる影、仮想物体から模型に落ちる影、仮想物体のセルフシャドウの表現が可能になりました。
リアリティを向上したAR/MR 技術デモ |
こちらの動画では実際の利用シーンを想定し、敷地模型上への設計物の重畳を行っています。ここでは仮に、ミース・ファン・デル・ローエが設計を行ったシーグラムビルを設計検討の対象として重畳していますが、ビルとビルの間から見た景観のシミュレーションなど、様々な視点からのシミュレーションが可能であることが確認できるかと思います。多少位置合わせに誤差があるシーンも見られますが、これは模型製作の精度の問題もありますが、ほとんどがマーカトラッキングの精度の問題なので、マーカのサイズと数を増やすことで対応可能であると考えています。また、AR/MR独自の表現として、模型上に車両・人物・飛行船をアニメーションさせています。このような表現も、従来の模型だけの表現では不可能であり、AR/MRを用いる利点となり得るのではないでしょうか。
リアリティを向上したAR/MR 模型を用いた検討への利用 |
マーカトラッキングにおいてマーカの映り込みは没入感を妨げる問題になります。ちょっとした思いつきから、非常にローテクな手法ではありますが、マーカを隠すことができるARを作ってみました。簡単-な技術ではありますが、動画の前半ではマーカが上手く隠蔽されているのが確認できるかと思います。後半では、カラクリが分かるようなシーンが多く見られますが...今後は-このような技術も盛り上がっていくのではないかと考えています。さて、こちらの動画からどのような方法でマーカを隠蔽しているかお分かりになるでしょうか??
マーカを隠蔽できるAR |
建築分野においても様々なところでアルゴリズムが用いられるようになってきました。そんな中に街並みをアルゴリズミックに作ってしまおうというソフトウェアもいくつか見られます。そこでアルゴリズミックに街並みを作るソフトウェアを自分たちで作成し、出来上がった街並みと現実の都市の街並みに見えられる特徴とを考察してみようと試みたのがこの研究です。アルゴリズムで街並みを形成する場合、街区の生成と建物の配置という二つのステップに分けて考えることが多く、この研究でも同様に二つのステップに分けて考えました。
以前から、当研究室でも同様の研究が行われていましたが、この研究が最新版ということになります。(参考リンク、古い順です。 1(記事下段)、 2(独自のアルゴリズムを用いた設計例、設計例2) )建物のバリエーションが増え、随分街並みらしくなったと思います。
アルゴリズミック・シティ 1 |
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複合現実感技術では、実世界ついては、マーカ配置面の情報を得ることで仮想モデルを重畳していますが、それ以外の物体には無頓着です。マーカがおかれている面以外の実物と、仮想物の前後関係は一切考慮されていないため、マーカ近傍に自分の手をかざすと、仮想物と手(実物)の前後関係があべこべになってしまいます。下のムービーは予め現実物をCADでモデリングし、形状データとして読み込ませることで前後関係の破綻を解消したものです。壁や窓、階段等に対し、違和感なく人のモデルが歩き回っているシーンが出来ています。CADでモデリングした三次元モデルを障害物として読み込ませることを実現し、下のように複雑な形状での実験が可能になりました。
前後関係を考慮した複合現実感 1 |
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次に、測域センサを利用したサンプルを紹介します。測域センサを使って障害物の位置を得ることで、前後関係の破綻の解消を試みています。ムービー中では、障害物を動かしたあと2秒ほど映像が止まりますが、この時に障害物を測域センサ(手前のマーカ下にあります)で捕捉しています。(この実験では、簡単のため障害物の奥行は既知として行っています。)やや誤差があるからか、障害物と三次元モデルが干渉してしまっていますが今後キャリブレーションを詰めていこうと考えています。
前後関係を考慮した複合現実感 2 |
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光環境を考慮したインテリアシミュレータについて紹介します。強化現実感では、仮想の三次元モデルと実在の風景はぴったりとあっているように見えますが、実際には三次元モデルの奥に背景として実在の風景があるだけです。この状態で三次元モデルが床に落とす影を描くのは難しいので、背景に実在の風景を貼るのをやめ、床面をポリゴンとして作成しそこに実在の風景を貼るように工夫を施します。こうすることで下のように影のある合成シーンを得ることができました。静止画版はこちらで何枚か紹介しています。以前のものと比較して、合成セーンのリアルさが増したかと思いますがどうでしょうか?
光環境を考慮したARインテリアシミュレータ |
オリジナル(wmv版)はこちら |