建築でコンピュータ、する?
2025年4月18日(金) 02:46 JST
2014.08.11 院生の作品紹介などを追記しました
先日今年のGDL講習会のGDL作品発表会が行われました。今回は内部学生のみですが、受講生は頑張って最終課題に取り組んできました。今年も昨年に引き続き優秀作品にはGRAPHISOFT賞が授与されます。
それぞれの作品の紹介、GRAPHISOFT賞の結果を見るには「続きを読む」を押してください。
昨年度より「GRAPHISOFT賞※(本年度受講生のみ対象の新人賞)」が開設され、受講生のモチベーションも高くなってきています。この発表会では当研究室に所属する修士、博士の学生も一緒に作品を発表します。
※GRAPHISOFT賞はGRAPHISOFT社独自の選考です。
発表会の様子をリアルタイム配信しての審査でした。
こちらの作品は気球をCONEとCYLINDを用いて生成しています。熱気球の膨らみや布の継ぎ目がきれいにモデリングされています。また宙にさまざまな色の気球が浮いていて風景に映えます。
ドバイにあるDynamic Towerをモデリングしました。パラメーターを変更することによって、フロアがそれぞれ個々に360°回転し、様々なシルエットを見せるという特徴を表現しています。また、特殊な形状をしているスラブもソリッド演算を用いることで再現しています。
ニューカレドニアにあるレンゾ・ピアノが設計したチバウ文化センターです。長さの異なる形状の柱をCALL文で作っています。地形にもこだわり、平面でなく凹凸のある面となっています。
こちらの受講生も気球をモデリングしました。偶然ながら同じものをモチーフにするという珍しいことが起こりました。こちらの気球では表面を条件分岐により制御し、楕円と4次関数の輪郭で形成しました。球皮と籠等の部品は、始点終点をきちんと結ばれており、バーナー部も詳細にモデリングされています。また全体を通して、後からテクスチャーを変えられるようになっています。
今年のGRAPHISOFT賞はこちらの作品です。リゾナーレガーデンチャペルをモデリングしました。平面上に作成した非常に複雑な模様を三次元投影して球面にきれいにマッピングしています。一度に大量の球をソリッド演算でくり抜くことはコストが大きいのですが、この作品では穴を開ける部位を分割することで、ノートパソコンでもレンダリングできるように軽量化している工夫もみられました。様々な工夫をこらした本作品が今年のGRAPHISOFT賞に輝きました。おめでとうございます。
今年は同じモチーフの作品が出てしまったこともあり、昨年に比べると作品数は少なく感じる発表会となりました。ですがGRAPHISOFT賞受賞作のように複雑なモデリングを行う受講生も出てきています。来年も4月より講習会が行われますので参加お待ちしております。なお修士、博士の学生の作品につきましては後日記事に追加します。08.11追記
GDLを用いてボトルシップを表現してみました。 瓶や船底の外形を表すプリズムの頂点を、C言語でスプライン補間を用いてGDLスクリプトとして出力することで、瓶の湾曲部分や船の船底の丸みなどを表しました。
チェスのポーン、ビショップ、ルーク、ナイト、クイーン、キングをGDLで作ってCALL文を使って呼び出せるようにしました。メインとなるGDLではチェスの盤面の情報や駒の移動情報を配列で記録し、GDLの最後で位置情報の通りに駒を描写できるようにしました。
カテナリー曲線を用いて緩やかな橋を生成し、それを中心に螺旋を描くことで、シンガーポールのHelix Bridgeをモデリングしました。端点に配置されたライトが美しい夜景を演出しています。
公開変数を変えることでさまざまな規則に沿って部材を配置する機能と、ホットスポットを用いてより感覚的に材の形状(長さや太さ)を変化させる機能を実装した欄間設計ツールをつくりました。 グラフィカル編集では縦材、横材、丸枠材、ベジエ曲線の材などの形状を感覚的に変化させることで、思い通りの形を作ることができるツールを目指しました。 規則的な配置と感覚的な形状設計を組み合わせる事で多様なデザインができます。
反応拡散方程式を簡易化したモデルを利用して、世代を重ねるごと(画像の右側にすすむごと)に模様が自発的に生じるシミュレーションをGDLで作成しました。 画像はそれぞれタイガープレコ、タテジマキンチャクダイ、ミクロラスボラハナビという魚の模様をモチーフに生成しました。 数種類のパラメータを設定するだけで、魚類や哺乳類の皮膚の模様など自然界にみられる模様と同じ原理で模様が生成できます。
トラス材を基本とした展開構造物をモデリングしたものです。 一つの材に力を加えると、各層のすべての材が連動して折り畳まれる構造になっています。 各頂点位置をGDLで制御し、Archicadのアニメーションと組み合わせることで、 任意の多角形構造物の複雑な展開の様子をシミュレートすることができます。
この作品は、飛騨の伝統木工細工の千鳥細工をモデリングしたものです。 交互に断面の3分の2を切り欠いた部材を順次、互い違いに組み合わせていき、それぞれの仕口部分を押し込むと出来る隙間に3分の1切り欠かれたマスター部材を差し入れるとすべての部材がかみ合います。 断面の辺を基本の長さとして、その数値で切り欠きの深さや格子の幅など、すべてが決まるようにプログラミングされています。
2つの曲線からなる曲面を生成するシステムを作成しました。 曲面を生成する上で必要な点を補間し、 なおかつそれらの曲面を構成する点を3D画面上で任意に編集できるようにしました。 そうすることで、より自由度の高い曲面をモデリングすることが可能になります。 この機能を用いることで、豊島美術館のような有機的な曲面をモデリングしやすくなります。
鳥居には多くの種類がありますが、それぞれに伝統木造建築と同様に「木割」が存在します。 木割とは、画像右(kiwari.gif)に示すように、柱の寸法を基準とした寸法体系です。鳥居の多くは柱心の寸法(図中A)により、その他全ての寸法が決まります。 これらをGDLで記述することで、実際の鳥居の寸法体系を反映した鳥居モデルを作成しました。古来から受け継がれてきたプロポーションは美しいものです。
チェスふたつ目です。こちらは、グラフィカル編集ホットスポットを使い、マウスポインタで駒を移動することで、 実際にチェスができるように実装してあります。API(C言語)でアドオンを作ってしまえば多少楽ですが、この作品ではオールGDLでの開発を試みています。
GDLのみでの開発で苦労するのは、グラフィカル編集ホットスポットにより公開変数が更新されるタイミングをつかむことが困難な点です。 つまり、「一手」のカウントが難しいのです。 ちなみに、「アンパッサン」や「プロモーション」、「キャスリング」といった特殊な手にも対応してみました。
GDL運動会の定番作品の一つである"木"の作品です。計算にはC/C++を使っている邪道なエキシビジョン的な作品です。 XFORMとプリミティブで記述した部品(葉っぱ)を使って、他言語で生成した3DモデルをGDL化しています。 木々の3Dモデルを得る方法としては、形状のフラクタル性に着目したL-Systemが有名ですが、 これでは一次成長、二次成長など木の成長を忠実に数理モデル化することで、木の3Dモデルを得ています。 物理エンジンを用いて、衝突判定によって枝の重なりを防ぎ、 重力による垂れ下がりに負けないよう真っ直ぐに伸び葉を広げていくようプログラミングされています。 なんとなく横方向に伸びる枝にリアリティが感じられますね。
2014年度GDL作品発表会を終えました。 来年の講習も例年通り4月より開催される予定です。 今後も研究で扱われたGDLの用法など不定期更新される予定ですのでよろしくお願いします。
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